💼 会計事務所職員のリアルな悩み
「見込み客と会えたのに、なんとなく終わってしまった」
「提案はしたのに、『検討します』で音信不通になった」
「そもそも何を話せばいいかわからない」
会計事務所の職員が営業を苦手とする理由はシンプルです。
「売る」という発想で面談に臨んでいるから。
この記事で紹介するのは、売り込まずに契約が取れる「課題解決型クロージング」の再現性ある全手順です。
スクリプト・フロー・心理まで含めて、丸ごと持っていってください。
営業は才能ではありません。正しい順番と正しい言葉を使えば、内向的な人でも再現できるスキルです。まずその前提から始めましょう。
📊 「契約が取れる職員」と「取れない職員」の決定的な違い
| 場面 | ❌ 取れない職員 | ✅ 取れる職員 |
|---|---|---|
| 面談の目的 | 「うちのサービスを説明する」 | 「相手の課題を聞き出す」 |
| 話す比率 | 自分7:相手3(一方的説明) | 自分3:相手7(聞き役に徹する) |
| 料金の話題 | 最初に「月○○円〜です」と言う | 課題整理が終わるまで出さない |
| 提案のタイミング | 会って15分で「いかがでしょう?」 | 相手が「それ、どうすればいいの?」と聞いてから |
| 「検討します」への対応 | 「わかりました」で終わる | 「何が一番気になりますか?」と深掘りする |
| 面談後のフォロー | 連絡を待つ | 48時間以内に議事録+提案書を送る |
| クロージングの言葉 | 「よければご検討ください」 | 「次のステップとして〇〇から始めませんか?」 |
💡 契約が取れる人の「根本の発想」
会計事務所に相談に来る経営者は、「税理士を買いたい」のではなく「不安や課題を解決したい」と思っています。
だから、最強の営業トークは「うちはこんなに良い事務所です」ではなく、「社長が抱えているモヤモヤを言語化してあげること」です。
自分の課題を整理してくれた人を、人は信頼します。
🗺️ 初面談〜契約の全体フロー(90分設計)
再現性のある「90分クロージング」の流れ
1
アイスブレイク・信頼形成 雑談で場を温め、「この人は普通の税理士と違う」と感じてもらう
5〜10分
↓
2
現状ヒアリング 事業・お金・悩みを丁寧に聞く。ここが最重要。
20〜30分
↓
3
課題の言語化・共有 「つまり、こういう状況ですね」と整理して見せる
10分
↓
4
解決策の提示 「こういった形でお手伝いできます」と具体的に話す
10〜15分
↓
5
料金・プランの提示 課題の大きさに見合った金額として提示する
5〜10分
↓
6
クロージング・次のステップ提示 「まず〇〇から始めませんか」と具体的に進める
5〜10分
↓
7
面談後フォロー(48時間以内) 議事録メール+提案書で「この人は仕事が早い」を印象付ける
翌日まで
01
最初の一言で「ヒアリング型」と宣言する
🔑 冒頭宣言が面談の質を決める
📝 実際に使えるスクリプト
自分「今日は、弊所のご説明よりも先に、社長のお話をしっかり聞かせていただきたいと思っています。事業のこと、今困っていること、何でも話していただければ。そこから、私たちがどうお役に立てるかを一緒に考えられればと思っています」
💡最初にこれを言うだけで、経営者の「売り込まれる」という警戒心が大幅に下がる。「聞かせてもらう姿勢」を宣言することが最初の差別化。
❌「今日は弊所のご説明に参りました」から入ると、経営者は即座に「売り込みモード」で身構える。パンフレットを広げるのは面談の最後でいい。
02
業界・事業への「予習」を一言見せる
🎯 「この人は調べてきた」という信頼
📝 実際に使えるスクリプト
自分「ホームページを拝見しました。〇〇というサービス、面白い切り口だなと思って。あれはどういう経緯で始められたんですか?」
社長「おっ、読んでくれたの?実はね…」
💡訪問前に5分でいいのでホームページ・SNS・業界ニュースを確認する。「調べてきた」という事実が、最初の信頼の土台になる。
「3層掘り」とは?
表面の事実 → 困っていること → 本当に怖いこと、の3層を順番に聞くテクニック。
多くの職員は「表面」だけを聞いて提案してしまいます。「本当に怖いこと」まで到達した人だけが、深い信頼と高い成約率を得られます。
表面の事実 → 困っていること → 本当に怖いこと、の3層を順番に聞くテクニック。
多くの職員は「表面」だけを聞いて提案してしまいます。「本当に怖いこと」まで到達した人だけが、深い信頼と高い成約率を得られます。
03
第1層:「今の状況」を聞く
📋 事実の確認
📝 実際に使えるスクリプト
自分「今、税務・会計のことはどんな体制で対応されていますか?」
社長「今は自分で弥生でやってて、確定申告は知り合いの税理士に頼んでるんだけど…」
💡「今どんな状況か」を整理することで、経営者自身が現状を言語化できる。話しながら「あ、これって問題だな」と気づいてもらえることも多い。
04
第2層:「困っていること」を引き出す
😤 課題の発見
📝 実際に使えるスクリプト
自分「その状況で、一番不便だなとか、ここがモヤモヤするなというのはどんなことですか?」
社長「毎月の数字がリアルタイムでわからないし、節税とかもちゃんとできてるのか不安で」
自分「なるほど。数字がタイムリーに見えない、ということですね。それはどんな場面で一番困りますか?」
💡「どんな場面で困るか」を具体化させることが重要。「なんとなく不安」を「具体的な困りごと」に変換することで、解決策の提示がリアルになる。
05
第3層:「本当に怖いこと」に触れる
💥 最重要・ここで信頼が決まる
📝 実際に使えるスクリプト
自分「少し直接的に伺ってもいいですか。今の状況が続いたとして、一番困ることって何だと思いますか?最悪のシナリオを考えると、どんな状態が怖いですか?」
社長「……正直、税務調査が来たときに何も対応できないのが怖い。あと、銀行に融資を断られたらどうしようって」
自分「そこまで話してくださってありがとうございます。その2点、実は私たちが一番力になれる部分です」
💡「最悪のシナリオ」を言語化してもらうことで、経営者自身が「これは早く解決しなければ」という感覚を持つ。ここまで引き出せた職員は、成約率が劇的に上がる。
❌「それは大変ですね!うちに任せれば安心ですよ!」とすぐ売り込まない。まず「そこまで話してくれてありがとうございます」と受け止めることが最優先。
06
「つまり、こういう状況ですね」と整理して見せる
🪞 言語化が最強の信頼構築
📝 実際に使えるスクリプト
自分「少し整理させてください。今の状況をまとめると——①月次の数字がリアルタイムで見えない、②節税が本当にできているか自信がない、③税務調査・融資審査への不安がある、この3点が今の課題ということでよいでしょうか?」
社長「そう!そうなんだよ。すごくまとまってる」
💡「言語化」の力は絶大。経営者は頭の中にモヤモヤした不安を持っているが、それを整理してくれた人を即座に信頼する。箇条書きで①②③と整理するのがコツ。
🎯「そう、そうなんだよ」という言葉が出たら、心理的なクロージングは7割完了していると考えていい。この瞬間から提案モードへ移行する。
07
課題①②③に対応させる形で提示する
🎯 課題と解決策を1対1で対応させる
📝 実際に使えるスクリプト
自分「先ほど整理した3点について、私たちがどうお力になれるかお伝えします。①月次の数字については、毎月訪問して試算表をお渡しするだけでなく、社長が意思決定に使えるよう一緒に読み解きます。②節税については、年間を通じた節税プランを最初に設計して、手遅れになる前に動きます。③税務調査・融資については、日常の帳簿の段階から『調査が来ても大丈夫な状態』を作ります」
💡課題の番号と解決策の番号を一致させることで、「この人は私の話をちゃんと聞いていた」という印象になる。スペックの羅列ではなく「あなたの問題への答え」として届く。
08
「他事務所との違い」を事実で語る
🏆 自慢ではなく「事実」で差別化
📝 実際に使えるスクリプト
自分「一点だけ、他の事務所と違うことをお伝えしていいですか。多くの事務所は申告書が完成してからご連絡しますが、私たちは月次で数字を確認しながら、『今何をすべきか』を毎月お話しします。決算月に慌てて動くのではなく、1年を通じて一緒に動く、というスタイルです」
💡「うちは最高です」という自己評価より「こういうことをしています」という事実のほうが信頼される。具体的な行動を一つ語るだけで差別化になる。
09
「コスト」でなく「投資対効果」として提示する
💴 金額の前に「価値」を置く
📝 実際に使えるスクリプト
自分「料金についてお話しする前に一つだけ。先ほどおっしゃっていた節税ですが、今の状態を整えるだけで、年間で数十万円単位の改善が見込めるケースが多いです。顧問料との差し引きで考えていただくと、多くの方が『払う価値がある』と感じていただけています」
自分「そのうえで、月額〇万円〜というプランになります。初月は〇〇から始めることもできます」
💡金額を言う前に「これだけの価値がある」という文脈を作ることで、経営者の頭の中に「コスト」ではなく「リターン」として金額が入ってくる。この順番を逆にすると成約率が下がる。
10
「3プラン提示法」で選択肢を与える
🧠 心理的に中を選ばせる設計
📝 実際に使えるスクリプト
自分「プランは3つご用意しています。スタンダードは記帳・申告のみの月○万円。スタンダード+は月次訪問・節税提案込みで月○万円。フルサポートは経営相談・資金調達支援まで含めた月○万円です。社長の状況からすると、スタンダード+が最初のステップとして合っていると思います。いかがでしょうか?」
💡3つ提示すると人は「比較」に入るため、「高い・安い」という絶対評価から「どれにするか」という相対評価に思考が切り替わる。自分が勧めたい中間プランを「一番合っていると思います」と理由つきで推奨するのがポイント。
11
「次のステップ」を具体的に提示してクロージング
🔑 「いかがでしょう?」を言ってはいけない
📝 実際に使えるスクリプト
自分「今日お話を聞いた感じ、特に〇〇と〇〇が急ぎの課題だと思います。もし進めるとしたら、まず来月の試算表から一緒に確認するところから始めましょうか。最初の一ヶ月は実際に動いてみて、合わなければ遠慮なく言ってください」
社長「そうだね…じゃあ一度試してみようか」
💡「ご検討ください」は相手に全部委ねる言葉。「まず〇〇から始めませんか」という小さな次の一歩の提示に変えると、相手の心理的な敷居が大きく下がる。
❌「よければご検討ください」「またご連絡いただければ」は成約率ゼロに近い言葉。これを言った瞬間に主導権を相手に渡してしまっている。
12
「検討します」が出たときの切り返し3パターン
🛡️ 最重要・ここを準備しているかで全てが決まる
📝 「検討します」への切り返しスクリプト
パターンA「ありがとうございます。検討いただけるとのこと嬉しいです。差し支えなければ、一番気になっている点はどんなことですか?そこだけでも一緒に整理できれば」
パターンB「わかりました。では来週〇曜日に、簡単な提案書をメールでお送りしてもよいですか?そこで改めてご判断いただければ」
パターンC「もし比較されているところがあれば、率直に教えてください。その上で弊所が合うかどうか、一緒に判断したいと思います」
💡「検討します」は9割「断りの婉曲表現」か「何かが引っかかっている」サイン。「何が一番気になりますか?」と聞くことで、本当の理由が出てくることが多い。
13
24時間以内に「議事録メール」を送る
⚡ 「この人は仕事が早い」という印象が信頼になる
📝 議事録メールのテンプレート
件名【本日のお打ち合わせ内容まとめ】〇〇様
本文〇〇社長
本日はお時間をいただきありがとうございました。
本日確認した内容と、次のステップをまとめました。
【ご状況の確認】
・〇〇〇〇〇
・〇〇〇〇〇
【ご課題として挙げていただいた点】
①〇〇〇〇
②〇〇〇〇
③〇〇〇〇
【弊所からご提案できること】
・〇〇〇〇
【次のステップ】
〇月〇日までに詳細なプランをご送付いたします。
何かご不明な点がございましたら、お気軽にご連絡ください。
本日はお時間をいただきありがとうございました。
本日確認した内容と、次のステップをまとめました。
【ご状況の確認】
・〇〇〇〇〇
・〇〇〇〇〇
【ご課題として挙げていただいた点】
①〇〇〇〇
②〇〇〇〇
③〇〇〇〇
【弊所からご提案できること】
・〇〇〇〇
【次のステップ】
〇月〇日までに詳細なプランをご送付いたします。
何かご不明な点がございましたら、お気軽にご連絡ください。
💡議事録メールを送ってくる会計事務所はほぼいない。それだけで「この人は違う」と強く印象付けられる。完璧な内容でなくていい、送るスピードが重要。
🧠 経営者の「信頼度」は面談のどこで上がるか
面談中の信頼構築の波形(イメージ)
冒頭宣言
業界の
予習を見せる
予習を見せる
3層掘り
ヒアリング
ヒアリング
課題の
言語化
言語化
議事録
メール
メール
⚠️ 成約率を下げる「よくある3つの失敗パターン」
①「早すぎる提案」——ヒアリングが5分で終わり、すぐパンフレットを広げる。経営者は「話を聞いてもらえなかった」と感じる。
②「料金を先に言う」——価値を伝える前に金額を出すと、「高い・安い」の評価軸だけで判断される。料金は必ず最後。
③「フォローを相手任せにする」——「またご検討ください」で終わると、経営者の頭からあなたの存在は48時間で消える。次のアクションは必ず自分が提示する。
①「早すぎる提案」——ヒアリングが5分で終わり、すぐパンフレットを広げる。経営者は「話を聞いてもらえなかった」と感じる。
②「料金を先に言う」——価値を伝える前に金額を出すと、「高い・安い」の評価軸だけで判断される。料金は必ず最後。
③「フォローを相手任せにする」——「またご検討ください」で終わると、経営者の頭からあなたの存在は48時間で消える。次のアクションは必ず自分が提示する。
✅ 面談前・面談中・面談後チェックリスト
- 📋【前日】 相手のHP・SNS・業種をざっくり調べ、一言触れられる「予習ネタ」を1本用意する
- 📋【前日】 3プランの料金・内容を整理して頭に入れておく(資料は面談後半まで出さない)
- 📋【面談冒頭】 「まず社長のお話を聞かせてください」と宣言する
- 📋【面談中】 話す比率は「自分3:相手7」を意識する。話しすぎたと思ったら質問に戻る
- 📋【面談中】 課題が出てきたら①②③と番号を振って整理し、声に出して確認する
- 📋【面談終盤】 「次のステップとして〇〇から始めませんか」という具体的な一歩を提示する
- 📋【翌日まで】 議事録メール(課題・提案・次のステップ)を24時間以内に送る
- 📋【1週間後】 返答がなければ「その後いかがでしょうか」のフォローを必ず入れる
🏁 まとめ:再現性のある営業の正体
売れる職員は「トーク力がある人」ではありません。
「正しい順番で、正しい言葉を使っている人」です。
今日紹介した流れを一言で言えば——
「聞く → 整理する → 見せる → 次の一歩を提示する」
これだけです。
最初は全部できなくていい。
まず「冒頭の宣言」と「面談後の議事録メール」の2つだけ実践してみてください。
それだけで、次の面談から結果が変わり始めます。


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