マイナポータル+AIの未来で確定申告の90%以上は税理士不要になる? 

マイナポータル+AIの未来で確定申告の90%以上は税理士不要になる?  会計ソフト
マイナポータル+AIの未来で確定申告の90%以上は税理士不要になる? 
📱 マイナポータルとAIの進化により、確定申告の自動化が急速に進んでいます。「もう税理士はいらないのでは?」という声も増えてきました。税理士の立場から、この問いに正直に答えます。
🤔 マイナポータル+AIで、90%以上の人の確定申告は税理士不要になるのか?

結論から言うと、「単純な申告」に限れば、すでにそれに近い状態になりつつあると思います。ただし、「税理士不要」と「申告がラクになる」はまったく別の話です。この記事では、現在の自動化の実態と、それでも税理士が必要な場面を整理します。

マイナポータル連携で、今何ができるのか

まず現状を正確に把握しておきましょう。2025〜2026年時点でのマイナポータル連携の自動入力対象は以下のとおりです。

📄 給与所得の源泉徴収票
自動化度:高(勤務先がe-Tax提出済みの場合)
🏥 医療費控除
自動化度:高(保険診療分のみ)
🏘 ふるさと納税(寄附金控除)
自動化度:高(対応自治体のみ)
🏠 住宅ローン控除
自動化度:高(金融機関が対応済みの場合)
📊 株式の特定口座年間取引報告書
自動化度:高(証券会社が対応済みの場合)
🛡 生命保険・地震保険料控除
自動化度:高(保険会社が対応済みの場合)
🏢 公的年金(年金所得者)
自動化度:中(iDeCo等の併用で複雑化)
🧾 事業所得・雑所得の経費
自動化度:低(判断が必要)
📈 利用者数の推移
令和5年分の確定申告でマイナポータル連携を利用した人は約190万人、令和6年分では約310万人と、1年で大幅に増加しています。仕組みの整備とともに、利用者は今後も増え続ける見込みです。

「税理士不要」になりやすい人・なりにくい人

自動化の恩恵が大きいのは、所得の種類が少なく、控除の種類も標準的なケースです。反対に、判断や設計が必要な申告ほど、自動化の限界が見えてきます。

✅ 自力申告に向いているケース

  • 給与所得のみ(副業なし)
  • 医療費控除・ふるさと納税のみ
  • 住宅ローン控除(2年目以降)
  • 特定口座の株式譲渡益(源泉あり)

⚠️ 税理士関与が有効なケース

  • 個人事業主・フリーランス(経費判断)
  • 不動産所得あり(減価償却・修繕費判断)
  • 相続・贈与・譲渡所得が絡む年
  • 複数年にわたる損失の繰越
  • インボイス・消費税の申告が必要
⚠️ 「自動化=正確」ではない点に注意
マイナポータル連携で取得したデータはそのまま申告書に反映されますが、「そのデータが申告上正しい処理かどうか」の判断は別問題です。例えば、医療費控除の対象外費用が混入していても、システムは指摘しません。

AIはどこまで代替できるのか

マイナポータルはデータ収集・自動入力の仕組みです。これにAIが加わると、何が変わるのでしょうか。

AIが得意なこと

AIが自動化できること まだ人間の判断が必要なこと
仕訳の自動分類(クレカ・銀行明細) 経費か私費かの境界判断
控除額の計算・入力 節税手法の選択(青色 vs 白色、償却方法等)
申告書フォームへの転記 税務調査リスクの評価・対応
入力ミスや金額異常の検出 複数年にまたがる税務設計
e-Taxへの送信サポート 事業承継・相続との連動策

要するに、「すでに決まっていることを正確に入力する」作業はAIが置き換えられる一方、「何をどう申告するかを決める」判断はまだ人間の領域です。

近未来:自動化はどこまで進むか

2025〜2026年(現在)
給与所得者・年金受給者の7〜8割は、マイナポータル連携だけで申告書がほぼ完成する状態に。フリーランスは会計ソフトのAI仕訳が補完。
2027〜2028年(予測)
銀行・クレカ・レシートのデータが国税庁側と直接連携する議論が進展。個人事業主の収入・経費の大半がリアルタイムで把握される可能性。
2030年代(想定)
「申告書を書く」という概念自体が変わり、国税庁が事前に計算した申告案を納税者が「確認・承認」するモデルへの移行が議論されている(欧米型の事前計算申告制度)。
🔴 「税理士不要」が意味することの落とし穴
申告書を自分で作れることと、最適な税務処理を選べることは別です。例えば、青色申告65万円控除の要件を満たしているのに白色申告で申告していた、減価償却の方法が不利なまま数年続いていた、といったケースは「申告できている」のに「最適ではない」状態です。
こういった「知らないと損をするポイント」は、AIが自動的に提案してくれるわけではありません。

税理士の価値は「申告書作成」から「意思決定支援」へ

正直に言えば、「申告書を作る」という作業の価値は、今後10年で大きく下がると思います。これは税理士として認めざるを得ない現実です。

一方で、これはむしろ本来の専門家の役割に回帰するきっかけでもあります。

  • 今年の申告をどう組み立てるか(節税・控除の最大活用)
  • 来年・再来年を見据えた手を打つ(法人化・事業承継・相続対策)
  • 税務調査に備えた証拠・記録の整備
  • イレギュラーな取引の税務上の扱い判断

こういった「判断と設計」の領域は、データ入力の自動化が進むほど、相対的に重要性が増します。

📌 まとめ
  • マイナポータル連携で、給与所得者や年金受給者の多くはすでに自力申告が十分可能な環境になっている
  • 「申告書を作る」作業のAI代替は着実に進んでいるが、「何をどう申告するかの判断」はまだ自動化できない
  • 90%不要、は入力作業についてはほぼ正しい。ただし税務判断・設計については別の話
  • 税理士の価値は「作成代行」から「税務設計・意思決定支援」へシフトしつつある
  • 自力申告を検討する前に、自分の所得の種類と複雑さを確認するのが最初のステップ

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