税理士事務所の「顧問料」はお守り代だった。

会計ソフト
業界の内側から告発する

税理士事務所の「顧問料」はお守り代だった。
会計事務所20年のベテランが明かす、
この業界の不健全な構造

毎月、何となく払い続けている顧問料。「税理士に頼まないと不安だから」——その感覚こそが、業界が何十年も守り続けてきた「お守りビジネス」の正体だ。

典型的な中小企業が税理士事務所に払う費用の内訳 あなたの会社 毎月 ¥30,000〜¥80,000 (年間 360〜960万円) 支払い 顧問料の実態 実際の作業分 約15% 定例訪問コスト 約20% 「待機」コスト 約25% 「お守り代」 (不安感への課金) 約40% 年間費用 ¥96万 (月8万円の場合) 本当に必要な 作業の価値 ¥14万 程度 ※著者の実務経験・業界調査に基づく概算。事業規模・契約内容により異なります。

「何もしてないのに毎月お金が消えていく」

会計事務所に20年いた。顧客の中小企業のオーナーたちが、毎月黙って振り込んでいく顧問料。 一体、何の対価として払っているのか——実は、担当者の多くもうまく説明できないのが現実だ。

業界内の隠語として「お守り料」という言葉がある。税理士に頼んでいれば「何かあっても大丈夫」という 不安感に課金するビジネスモデルだ。 明確な成果物がなく、何もトラブルがなければ「税理士のおかげ」、何か起きれば「もっと相談すれば良かった」という構図。これ、ビジネスとしてよくできすぎている。

元業界人として正直に言う:
月5万円の顧問料のうち、実際に人が動いた作業の原価は多くの場合、月1〜2万円程度だ。残りはシステム維持費、事務所の家賃、そして「いつでも相談できますよ」という待機料金。クライアントの多くはその待機料を使いこなせていない。

会計ソフトが変えた、この10年

freee、マネーフォワード、弥生クラウド——これらが普及した今、「記帳代行」という作業の価値は激変した。 AIが領収書を読み取り、銀行明細が自動で同期され、消費税の計算も自動でされる時代に、 「毎月ご訪問してチェックします」の価値がどれほどあるか、冷静に考えてほしい。

会計業務の「人手が必要な部分」の変化 2015年ごろ 記帳・仕訳入力 通帳・領収書管理 月次レポート作成 決算・申告書類作成 税務相談・節税提案 AIが代替 2025年現在 記帳・仕訳入力 通帳・領収書管理 月次レポート作成 決算・申告書類作成 税務相談・節税提案 今、本当に必要なこと ✕ 毎月の訪問・記帳確認 ✕ 通帳コピーの預かり ✕ 月次の「顔を見せる」訪問 ○ 初期設定と数ヶ月の運用指導 ○ 決算・申告(年1〜2回) ○ 困った時だけの税務相談 灰色=AIや会計ソフトが自動化済み 黄=年次業務 緑=専門家の本質的な価値

具体的に、いくら節約できるか

では実際に、「顧問契約をやめてスポット契約に切り替えた場合」の費用差を見てみよう。 これは私が実際に見てきたケースをベースにした試算だ。

項目 従来の顧問契約 新しいモデル(推奨)
月次顧問料 ¥30,000〜¥80,000/月 不要(¥0)
会計ソフト初期設定・指導 顧問料に含まれる(なんとなく) ¥50,000〜¥100,000(1回)
運用サポート(3〜6ヶ月) 月次訪問として請求 ¥30,000〜¥50,000(期間固定)
決算・法人税申告 別途 ¥150,000〜¥300,000 ¥150,000〜¥300,000(変わらず)
税務相談(都度) 顧問料内(使いこなせない) ¥10,000〜¥30,000/回
年間合計(試算) 約 ¥660,000〜¥1,260,000 約 ¥230,000〜¥450,000
最大70%
年間コスト削減の可能性(事業規模・内容により異なります)

「税理士に頼んでいれば安心」から
「使う時だけ専門家を使う」へ。
その発想の転換だけで、年間で数十万円が手元に残る。

じゃあ、何をすればいいか?

  • まず今の顧問契約書を引っ張り出して「何をしてもらっているか」を箇条書きにする
  • freee・マネーフォワードいずれかのクラウド会計を自分で触ってみる(無料期間あり)
  • 「初期設定と半年サポート、あとは決算のみ」でいくらか税理士に見積もりを取る
  • 複数の税理士・会計士に相談し、スポット対応可能かを確認する
  • 自社で対応できない範囲(税務調査対応・M&A・相続)だけを専門家に委託する

業界の人間として、最後に一言

誤解しないでほしいのは、「税理士は不要だ」と言いたいわけではない。 税務調査の場面、資金調達の局面、相続や事業承継——そこで専門家の力は本物だし、 頼りになる税理士との関係は財産だ。

ただ、「毎月何となく払い続ける定額の安心料」は、もう見直していい時代になった。 クラウド会計が成熟し、AIが記帳を自動化した今、お守り代を払い続ける合理的な理由は薄れている。

20年この業界にいて、気づいたことがある。本当に良い仕事をしている税理士ほど、 「うちに毎月お金を払わなくていいですよ。これだけ自分でできますよ」と言う。 逆に、解約をひどく嫌がる事務所は——何かを守っているのかもしれない。

著者:会計事務所20年勤務(元職員)。記帳・申告業務から顧客対応まで幅広く担当。現在は中小企業の会計効率化アドバイザーとして活動中。本記事の数値は実務経験および業界調査に基づく概算です。個別の状況により最適解は異なります。

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